さいさいきて屋の生産者シリーズ Vol.7~栄養を蓄えしっかり土台を作る。上へと伸びるアスパラガスの如く~

  

星歌子まい    イマナニ体験レポート

こだわりはシンプル、より良いものを食べてもらいたい

早速ですが、アスパラガスについて問題です。
「茎が太いアスパラガス、細めのアスパラガス、どちらがより美味しいでしょうか」

皆さんの答えは?
その答えは…「太いアスパラガスです」。

お話してくれたのは、今治のアスパラガス生産者の倉橋絵里さんです。
2014年に就農して以来、JAおちいまばりのさいさいきて屋に採れたてのアスパラガスを欠かさず出荷しています。

「アスパラガスの茎は根元に近いほど皮が厚くなり、太いアスパラガスはその部分が固めとよく思われがちです。実際は、太いものも細めのものも大して皮の厚みも、さらには中の繊維の強さも変わらないんです。太いアスパラガスの方が皮の下にある肉質もしっかりと味わえて、やわらかく美味しく感じられやすいんですね。」

と言うことで…「お好みにもよりますが、アスパラガスを味わっていただくには太めのアスパラガスがお勧めです!」。
今回は、アスパラガス生産のプロ、倉橋さんにアスパラガスのことと倉橋さんについておうかがいしてきました!
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倉橋さんはアスパラガスを丁寧に袋詰めして、さいさいきて屋に出荷中。
倉橋さんはアスパラガスを丁寧に袋詰めして、さいさいきて屋に出荷中。 この日も今治の空と海は青! 倉橋さんの仕事場、ハウスの前で。風通しも日当たりも良好! お話を聞いている内に、いつの間にか倉橋さんの肩にはてんとう虫が♪ 「アスパラガスは瓶に浅く水を張って、立てた状態で保存するのがお勧めです」と倉橋さん。
早速に倉橋さんの仕事場であるハウスでアスパラガスを見せてもらいます。
ハウスに入ると、更地にそびえ立つ神聖な佇まいの無数のアスパラが目に飛び込んできました。
茶色い地面にアスパラガスの茎以外の緑はなく、土の上に直に直立した姿はあまり見ることがない新鮮な光景です。

既に、この日の早朝に第一弾のアスパラガス収穫を終えたと言う倉橋さん。
「アスパラガスの成長は早いので、もう次の収穫のものが結構伸びてきてますね」と、出荷規格(25~26㎝)近くまで育ったアスパラガスを見せてくれます。

倉橋さんが栽培しているアスパラガスの品種は“ウエルカム”で、日本のアスパラガス生産量の中でも比較的多い品種だそう。
「この、一見普通の土に見える土壌も、実は全て牛糞なんですよ。アスパラガスは養分をタップリ蓄えて育ちます」と、アスパラガスの高い栄養価の秘密を説明してくれます。

倉橋さんは、土壌から芽を出したばかりの新鮮なアスパラガスの若茎を、基本的に朝と夕方の一日2回収穫。
昨年の冬はいつもより気温が低かったことで収穫のスタートは例年よりも遅かったそうですが、通常2月末から始めてなんと秋口あたりまでアスパラガスを収穫・出荷しています。

倉橋さんが管理するアスパラガスのハウスは4棟。繁忙期は一日でスーパーの買い物カゴに1杯分ほどのアスパラガスが収穫できるそうです。

ここでラジオでお馴染みのさいさいきて屋の“さいさいすーさん”と一緒に、アスパラガスの収穫体験をさせていただきました。
お手本として倉橋さんが、「出荷規格にあう27㎝程のアスパラガス」の根本を剪定ばさみでパチンと切って見せてくれます。

太いアスパラガスの茎ですが、気持ちよいほどに弾ける音をさせてカットされていきます。
さいさいすーさんも、新鮮なアスパラガスの手触りに感動の様子。

まっすぐにピンと長く伸びたアスパラガスを手に、倉橋さんは「私のこだわりですが、穂先は閉じたものがより鮮度が高く美味しいので、穂先のしっかり締まった良品のアスパラガスを出荷できるよう心がけてます。やっぱり見た目良しで美味しいものを食べて欲しいので、これは譲れないんです」と力説。

一本一本のアスパラガスへの愛情と消費者への真摯な想いに感動しました。
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地面からスラリと伸びたアスパラガスの姿に、生き物の神秘を感じる…
地面からスラリと伸びたアスパラガスの姿に、生き物の神秘を感じる… 顔を出したばかりのアスパラガスの新芽。土の下には年月をかけて育ったアスパラガスの大きな株が広がっています。 アスパラガスは根元から剪定ばさみで切ります。 ラジオでおなじみ“さいさいすーさん”も収穫体験♪ まっすぐ伸びたアスパラを手に記念にパチリ

考えて行動して納得してたどり着いた場所

倉橋さんのご実家はもともと農家を営んでいます。
「子供の頃、農家になろうと言う気持ちはあまり持っていなかった」そうですが、「環境問題に関心があって農業高校に進学しました」。

「農家の大変さは知っていたんですが、実家の農業を傍で見てきた自分の判断基準しかありません。高校での農業実習のおかげで、自分に合う農業を見つけられるのではと選択肢が広がりました」と、倉橋さんは可能性を感じて大学は農学部に進学。

「大学4回生になると周囲の友人たちは就職活動を始め、内定ももらい始めました。私は自分のやりたいことを見定めるために、いろんな農家さんを回って勉強させてもらいました」。
しかし、迷いがぬぐえずいた倉橋さんは相談に上がった先の恩師から「もっと農業を勉強しに、留学してみては?」と、提案されます。

各国の農業の特徴を調べ熟考した後、倉橋さんは留学先にスイスを選び渡欧しました。
スイスは酪農が有名ですが、倉橋さんが興味を持ったのは“家族経営農業”が主流であること。

「常に一緒にいる家族が農業を営みながら、どうやって日常の中でON/OFFを切り替えているのか?」と大きな関心を持ちました。
スイスでは、倉橋さんは4人家族の農家にステイし、家族の一員として農業を手伝ったりoffの時間を一緒に過ごしたりしました。

ある日、倉橋さんが “あともう少しだから、終わらせてから休憩を取ろう”と農作業を続けていると「今は休憩時間でしょ?休憩時間はしっかり取らなきゃいけないよ、今すぐ作業を止めて」と、ホストファミリーから休憩を取る様に強く促されました。

またある日は、ファミリーの農作業が立て込んでいても“休みの人は手伝わなくてよい”“しっかり休養をとること”“offの日は家事もしない”“休みの日には働いた人をねぎらうこと”が徹底されていて、倉橋さんは驚いたと共に感心したそうです。

「根底には“家族を大事にする心”がしっかりとあって、“働いてお金を儲けることよりも、家族の時間を大事に”しているんです。スイスの人たちは”自分の幸せの範囲をよく分かっている“と強く感じました」。

帰国した倉橋さんは、スイスで得た経験と学びを基に“自分でできる農業に就きたい”と考え、独立してアスパラガス栽培を始めることにしたのです。

アスパラガスは地中に株をもち、植え付けてから2年間は収穫せず地中の株がしっかり栄養を蓄えるよう育てます。
年月をかけ地中で大きな株となった頃に、立派なアスパラガスの若茎が地中から顔を出します。

じっくりと自らに向き合い根っこを育て、自分らしい働き方を体現する倉橋さん。
土台を育てて収穫のときを迎える、アスパラガス育成の熱意と根気に通じるものを感じました。
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倉橋さんが見聞きして考えてきたことを、たくさんお話してくれました!
倉橋さんが見聞きして考えてきたことを、たくさんお話してくれました! 採れたてのアスパラガスを、痛まない様にカゴに並べて収穫していくのが倉橋さんのスタイル。 作業中、ときに来客があることも。 地面にはわせた管から少量ずつ水がしとしとと流れ、土を潤します 倉橋さん愛用の剪定ばさみ。お仕事後はこの場所が定位置。
収穫後、「アスパラガスは油との相性がいいですよ!」と勧めていただいて、倉橋さんが育てたアスパラガスを早速キッチンで調理します!

倉橋さんのお勧めは“アスパラガスの天ぷら“”アスパラガスのオーブン焼き“。
今回そのお勧めの天ぷらと、「アスパラガスと油が相性良し」と聞いて真っ先に食べたくなった“アスパラガスのパスタ”を作ることにしました♪

まずはパスタ。
“こんなに立派で綺麗なアスパラガスを切るのがもったいない”…と、ためらいましたが、アスパラガスをカットしてオリーブオイルで炒めれば“このまま食べたくなる!”ほど美味しそうでたまりません~!!
(実際、待ちきれなくてパスタ投入前につまみ食いしました。)

完成したのは“アスパラガスとベーコンのペペロンチーノ”。
見た目も旬を感じさせます。

シンプルなオイルパスタとのアスパラガスの相性も最高で、“野菜を味わうパスタ”として甘味のあるアスパラガスの味と歯ごたえを堪能!このアスパラガスの太さがあってこその一品です!

続いて、天ぷら。
10㎝ほどの長めにカットし、衣にくぐらせて熱々の油へそっと落とします。
新鮮かつ鮮度が高ければ生でもイケるアスパラガスなので、揚げ時間も短め(今回は30秒~1分)で引き揚げます。

さて、揚げたてをまずはそのままでいただきます♪
優しいポキポキとした歯ごたえ、揚げ物ですがとてもアッサリしています。

これはいくつでも食べられてしまう!
お皿から売り切れる前に“塩”でもいただきます。
これはもう、おつまみとしてたまりません!

今回も農家さんお勧めの食し方で、食材を美味しくいただくことができて大満足です!ご馳走様です!
ちなみに”アスパラガスのオーブン焼き“は、アスパラガスをカットせずに丸っと丸ごとオリーブオイルを掛けてオーブンで焼くと言う、贅沢かつシンプルな料理です。

仕上げにお塩や黒コショウをかけたり、ほんの少しバルサミコ酢をかけてみたり、お好みでどうぞ♪
皆さんもぜひぜひこの美味しさを味わってみてください!
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春を感じる鮮やかな緑に♪
春を感じる鮮やかな緑に♪ 完成!アスパラとベーコンのペペロンチーノ 続いて、アスパラガスの天ぷら。 揚げたてを今すぐ食べたい。 想定よりちょっと衣が厚め。倉橋さんのお勧めは「衣薄め」です。十分美味しいけど、次回リベンジ!
倉橋さんは“にしゅーらGarten”の名でアスパラガス農家を経営しています。
“にしゅーら”は、地元の地名“西浦”を地元の方々が“にしゅーら”と呼ぶことに愛着をもち名付けたそうです。

“Garten”は“ガルテン”と読み、スイスで使われているドイツ語の“菜園、果樹園”を意味します。
「スイスは観光の国でもあって、あの美しい田園風景は農家の人々が作っているんです。”観光を守っているのは農家の人たちだ“と言う意識がスイスの人々にはあって、皆んなでスイスの農家を守っています。日本も、日本の発展と農家が共存できればと思います」と、最後に話してくれました。

倉橋さんが運営するインスタグラム“nisyura.garten”には作物の恵みと人々の息吹が融合するような、温かい日常が綴られています。
倉橋さんが運営するインスタグラムnisyura.gartenはこちら

改めて“食べるものは命の源である”と感じさせられると同時に、そんな作物の恵みを生み出す農家さんの存在にしみじみと感謝の想いが湧いてきます。

農家さんが生み出す新鮮、丹精込めた野菜は、今日もJAおちいまばりのさいさいきて屋にたくさん並んでいます。
さいさいきて屋に今日も行こう!

さいさいきて屋・過去記事はこちら

さいさいきて屋
開催時間/9:00~18:00 定休日 1月1日~1月3日
開催場所/さいさいきて屋(愛媛県今治市中寺279-1)
駐車場/あり 230台
問い合わせ先/さいさいきて屋 TEL.0898-33-3131
URL/https://www.ja-ochiima.or.jp/business/saisaikiteya/saisaikiteya/
reported by 星歌子まい