絵本はアートだ!大三島美術館「絵本原画展」

  

子どもも大人も、素晴らしい芸術に触れて感性を磨こう

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芸術の秋。そうだ、美術館へ行こう

秋ですね。食欲の秋、スポーツの秋、そして、芸術の秋。でも美術館はちょっと敷居が高そう…。今回はそんな人にもおすすめの、子供も大人も楽しめる、素敵な企画展をご紹介します。

秋晴れの空の下、しまなみ海道を爽快にドライブして訪れたのは、今治市大三島美術館。大山祇神社のすぐそばです。企画展「国際児童文学館蔵 絵本原画展 ~梶山俊夫、茂田井武、ほか~」が開催されています。

緑と光に包まれた美術館で、エントランスロビーも開放感がありとても気持ちのいい空間です。

さて今回、取材のため特別に展示作品の撮影許可をいただき、学芸員さんにお話を伺いながら絵本原画展を鑑賞しました。

中四国初の原画展示!「茂田井武」作品

最初の展示室にあるのは茂田井武(もたいたけし)氏の作品。戦後を中心に児童雑誌や絵本、童画を手がけ、1956(昭和31)年に惜しくも48歳の若さで死去した画家です。
茂田井氏の原画が展示されるのは中四国初!これを見逃す手はありませんよ。

カラーリストとも呼ばれるほどの色の使い手で、この絵の行灯の光も温度まで感じられそうなほどのあたたかみがあります。ただ当時の印刷技術では、出版物で思う色が再現できず、白黒でどう描くかも極めようとしたのだそうです。

動物も人も、独特の味わいです。自宅に飾りたい!と思うほど。
たくさん描いた中から編集者と取捨選択をして、絵本に使う絵を決めたそう。採用されなかった「未使用」原画も今回展示されています。大変貴重です。


▲この「かげ」という作品も、右の絵は「未使用」。物悲しさを感じるような鳥の表情に、色々と想像力を掻き立てられます。

絵本のストーリーも原画に合わせてそばに置かれているので、合わせて読んで楽しんでください。

これは海で理髪店を始めたカニのお話『かにのしょうばい』。海の生き物には毛がないので商売にならず、陸に上がって動物の毛をカット。なんていうお話だそうです。よく見ると机の上に、クシや髭剃りの道具がちゃんと揃っています。かわいい!

戦後すぐの頃に出版された絵本は今では入手が難しく、図書館や古本屋で探すしかないものも多いそうです。とても残念なことですが、ぜひ、今回じっくり目に焼き付けて!

絵本以外でも楽しめそう!「梶山俊夫」作品

続いての展示室は、梶山俊夫(かじやまとしお)氏の作品を中心に。

梶山氏はデザイナーとして活躍しながら絵を描き、文章も手がけた絵本もあります。
ハンカチや洋服、グッズにしたい!と思うような絵もたくさんありました。デザイン性にも秀でた作品たちです。

挿絵というようり、絵の中に文字を書くスペースも確保した、というかたちで、ページ全体、本全体をトータルで考えて描いているのが特徴です。


▲これらの絵は、物語の全編を通してゴミの色を赤色で描き、地球環境への警告を衝撃的に印象付けています。


▲日本の自然の美しさを独特のタッチで表現。そのまま額装したいほど魅力的です。

展示室中央のケースの中には、梶山氏の傑作ともいえる絵本「いぐいぐいぐいぐ」の原画が。

山からやってきた三つ目が「いぐいぐいぐ」の呪文で首を伸ばしつながっていく…。
ちょっと恐ろしげなお話を、奇妙な呪文とともにユーモラスに見せてくれます。和紙に描かれたふわりとした紙の質感、色のにじみなども効果的です。この風合いを、ぜひとも実際に見て感じてください!

宮沢賢治の世界を様々な表現で

宮沢賢治ファンにぜひ見て欲しい作品もあります。

ケース内にあるガラス絵は、『銀河鉄道の夜』など宮沢賢治の物語をテーマにした泉啓一氏の作品です。無造作なのがかえって魅力的な木枠の中に、深い色が映えるガラス絵。宮沢賢治の世界観をこう表現したか!と思わせてくれます。
木に直接絵を描いているのは『注文の多い料理店』が題材で、「山猫軒」の文字が見えますよ。

片面の壁にずらりと並ぶ横長の額は、宮沢賢治の『水仙月の四日』を描いた作品。日本画家・鈴木靖将(すずきやすまさ)氏によるものです。
吹雪の中を歩く子供と雪の精霊の物語を、とても美しい透明感のある絵にしています。
絵本はこれも残念ながら絶版。愛媛県立図書館にはあるそうです。

陶器の絵付けもされていた作家だそうで、通常の日本画とも少し違うタッチも見どころ。
絵本という枠を超えた、素晴らしい芸術作品です。

絵の世界に浸るひと時を

展示室内には靴を脱いでくつろげるスペースがあり、梶山俊夫氏の絵本なども置かれています。原画に囲まれて、絵の世界に入り込んだような時間を過ごしてください。


▲右は梶山氏が絵を描いた絵本。左は茂田井氏がパリにいた頃に描いたというスケッチブックの絵をまとめた画集。親子で夢中になりそう。


▲ロビーの販売コーナーには、茂田井氏が自分の子供のために描いた絵本を復刻した特別なものもあります。パリ時代の美しい絵のポストカードも!

関連イベントもいろいろ

この絵本原画展の関連イベントも、これから色々と開催されるそうです。

まず10月27日(土)には、講演会「絵本の魅力〜梶山俊夫作品を中心に〜」(13:30〜15:30 参加無料・申し込み要)。絵本の読み聞かせをしている方などにもとても参考になる内容だそうです。
講演会に先立ち12:40から絵本の読み聞かせもありますよ。

そして11月17日(土)にはワークショップ「ぴょんぴょん飛ばそう 絵本の世界」も予定されています(4歳以上、小学生未満は保護者同伴。参加無料・申し込み要)。

また11月6日(火)〜11月18日(日)の間は、カフェ「大三島みんなの家」で、この絵本原画展に合わせた特別メニューが登場するそうです。これもぜひ、行ってみてくださいね。

大三島美術館企画展「国際児童文学館蔵 絵本原画展 ~梶山俊夫、茂田井武、ほか~」
開催期間/9月15日(土)〜12月2日(日) 9:00〜17:00
開催場所/今治市大三島美術館(愛媛県今治市大三島町宮浦9099-1)
問い合わせ/0897-82-1234
料金/一般500円、65歳以上400円、学生250円、18歳未満無料 (税込)
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reported by イマナニ編集部
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